怖い?



怖いのは、彼らが居る、あの温かい現実
に戻ってしまうこと。──ううん、戻れ
ないこと?



あの現実に戻りたいのか、そうでないの
か、私にはわからない。



戻ってはいけないとわかってる。


これ以上触れてしまえば、もう戻れない
ことも。



だけど触れてしまいたいと願う自分がい
る。もう既に半分、侵食されている。



だからお願い。



「……私をどうにかしたいなら、とっと
とすれば?」



もう誰も、私に構わないで。



いっそのこと、私ごと、あの優しい陽だ
まりのような空間を──壊してよ。