図らずも勝手に明かされた名前に一人納
得しながら、春希を見た。



「少し助けてもらっただけだから」



そういってから、雅と呼ばれた男の方を
向いて、少しだけ頭を下げた。



「さっきはありがとう。じゃあ」



そう言って、踵を返して、去っていこう
とした私の腕を───。



───ガシッ



「……ちょっと待て」



雅が、掴んだ。



それに内心少し驚きながら、雅を振り返
れば、雅がジッと私を見つめていた。



「……なに」


「……お前、名前は」



名前……?



「美作、麗」