そういうと、ぎゅ、と手に力を込める雅
。
……なにそれ。さらっとそんなセリフ、
言わないで欲しい。どんな反応すればい
いのかわからないから。
ていうか私も私だ。
雅じゃない他の四人に言われたんだった
ら普通にあしらえるのに。
なんでか雅だとそれが出来ない。という
かあしらっても無駄なんだ。
「……貴方って末恐ろしいわね」
「麗に言われたくないけどな」
どういう意味よ。
「ねえ雅……。どうして私を姫になんて
したの?理由があるんでしょ?」
なんの理由もなしにいきなり私が抜擢さ
れるなんて変だもの。
すると、雅は少し憂いを含んだ瞳に私を
映した。
「……麗は、本当に覚えてねーのな」


