今日は厄日か何かかしら、と思いながら
、僅かに下げていた頭を上げる。



ふわり、と風に自分の黒髪が靡いた後で
見えた彼は、なんの感情も読み取れない
ような無表情だった。



「……お前───」


「あれっ、雅ー?」



目の前の彼が、何かを口にした時、それ
に被さるように、陽気な声が聞こえてき
た。



そちらを向いて、思わず、あ、と心の中
で声をもらした。



そこには、ポッキーを加えながらこっち
に歩いてくる、春希が居た。



「なにしてんのー?……って、麗ちゃん
!?」



今私に気付いたのか、びっくりしたよう
に目を見開いた春希。



「こんにちは」


「こ、こんにちは……え、なんで雅と居
るの?」



(雅っていうのね、この人)