──パシッ……。
「っ、」
当然、雅から逃げられる訳もなく、いと
も簡単に手首を捕らえられてしまう。
ひんやりとした雅の温度が伝わってくる
。私も体温は結構低い方なのに、いつも
雅の方が冷たい。
「なんで逃げるんだよ」
「逃げてなんか無いわよ」
そう言うと、少し黙った雅は、そのまま
私の手を引っ張り、自分の横へと並ばせ
た。
それから、私の手首を掴んでた指先をス
ルッと滑らせ、私の指と絡める。
「ちょっ……!」
「これが、バイクに乗らねー理由」
「……は?」
い、いきなりなんなの……?
「バイクに乗ったら、こうやって麗と話
せないし、手も繋げないだろ」


