だって俺は姫に、なんの感情も抱いてな
いから。



俺が想う女の子は、たった一人。それだ
けでいい。



横を歩く姫を盗み見る。



……相変わらず、すっげー綺麗な顔。



色白の肌に、真っ黒な髪の毛がよく映え
る。



それにスラッと伸びた手足。


こんな美少女じゃ、男が放っておかない
だろうけど、姫の冷たい雰囲気からあま
り直接言い寄られる事は無いらしい。



ああ、そういえば、と思い口を開く。



「姫、もう嫌がらせとかはされてねーの
?」

「……嫌がらせ?」

「俺が初めて会ったときは、殴られる寸
前だったでしょうよ」



すると、少し姫は目を伏せた。



「もう別に、無いわよ」