紗智の笑顔が見れたら。
紗智の声が、聞けたら。
それで、良かったんだ──。
翌日。さっそく紗智の手術は行われた。
成功率は90%。
誰も疑っていなかった。手術が失敗する
可能性なんて──誰も。
紗智は、目を覚まさなかった。
医者が顔面蒼白になりながら、あれこれ
と言い訳してるのを、俺はどこか遠い所
で聞いていた。
泣き崩れる母さん。
悲しみと怒りに震える父さん。
……酷い虚無感に襲われる、俺。
慌ただしい看護師や、医者。
まるでそれは地獄絵図のようで。ただ一
人、紗智だけが穏やかに眠っていた。
成功率90%で、何故失敗したのか。
まさか残りの少ない、10%の方に紗智
は含まれてしまったというのか。


