私は少しだけ、男の子を睨んだ。 「やめて。離して」 「付き合ってみたら好きになるかもじゃ ん……!」 (しつこい……!) 好きになるかもなんて、あり得ない。 そんなの絶対にない。 もう恋なんてしない、って決めた。初恋 は実らないっていうけど、あんな最悪な 初恋、思い出したくもない。 「だから……っ!」 ───ドンッ……! 好きにならないって言ってるでしょ!と 言おうとすれば、壁に打ち付けられた身 体。 その衝撃で一瞬目を瞑り、もう一度開け ば息を呑むほど近くに、男の子の顔があ った。