低く、凛とした声。



圧倒的な何かを孕むその声に、辺りは一
瞬、息をするのも忘れてしまう程の静寂
に包まれた。



「あ゛ぁ!?んだテメェ!!」



ゆっくりと薄らいでいく意識の中で見え
たのは、全てを飲み込むような、"黒"だ
った──。













「──おい。おい、しっかりしろ」



そんな声が聞こえて、ふと思い瞼を持ち
上げると、映りこんできたのは、驚く程
整った綺麗な顔に、サラリと微かに揺れ
る黒髪だった。



俺は慌てて起き上がろうとしたが、身体
中が痛くて、動けずに思わず顔を歪めた




「……無理すんな。あちこちキズだらけ
なんだからよ」

「……っ空、は……」

「あの坊主の事か?アイツなら、類がつ
いてる」