「……俺、美作さんが好きなんだ…っ」
顔を真っ赤にして、そう言った男の子。
悪いけど、ちっとも心が動かされない。
何の感情も湧いてこないんだ。
嬉しい、も。
迷惑だ、も。
なんの感情も、湧かない。
「……悪いけど、誰とも付き合う気、な
いから」
「……っ好きな人でも居るの?」
「そんなの、居ない」
好きな人なんて要らない。作らない。
恋だとか愛だとか、くるりと転がせば、
容易く"憎しみ"に変わってしまう感情。
そんな醜い感情、要らない。
「じゃあお試しでもいいから俺と付き合
ってよ!」
ぐい、と強く掴まれた両肩。


