一体、何が彼女にこうさせたのだろう。



「あれは……俺らの仲間、というか、龍
牙の人間だから。麗ちゃんが姫になった
から、自然と麗ちゃんの立場はあいつら
より上になるんだ」


「……そうなの?」


「そうだよ。総長の姫だからね。だから
ああやって何かと世話を焼いてくるけど
、気にしなくてもいいよ」


「わかったわ」


「それから、昨日の過去の事だけど」



そう言うと、ピクリと麗ちゃんの眉が動
く。



黒い瞳が、少し揺れた。



「……何よ。まだ、何かあるの」



少し苛立ちの混じった声。


彼女の纏う空気が、ピリピリしたものに
変わった。



「───逆だよ。もう、二度と君の過去
のことを持ち出したりしない」



そう言うと、少し目を見開く麗ちゃん。