ほんとにこの子は、龍牙の"姫"になると
いうことがどういうことなのかを、分か
っていない。



ここら辺の女の子、ましてや玉露高校の
女の子なら、誰でもしってる"姫"のたち
位置。そしてきっと、喉からで手が出る
ほど、そこに君臨したい筈なのに。



麗ちゃんは、姫はおろか、龍牙の存在ま
でも知らなかった。



驚かなかったといえば、嘘になる。



自意識過剰とか、そんなのではなく、真
面目に。俺らを知らない高校生が居ると
は思っていなかったから。



ただでさえ、ウチの連中は目立つ奴ばか
りだし。



だけど麗ちゃんは、知らなかった。



いや、知ろうとしていなかった。



知ること事態を拒絶するかのような。こ
の世界に関わることを、拒絶しているよ
うな。



そんな、感情の消えた瞳をしていた。