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「椿さん、鈴ちゃん、
本当にありがとうございました。」


あたしが深く頭を下げると、


「いいんよ、いいんよ!顔上げて!!
日向ちゃんのお陰でうちらも助かったんよ!」


いつ見ても綺麗な椿さんが、
あわあわしながら、あたしの身体を起こした。


着物から元々着ていた袴に着替えた後、
荷物をまとめて、あたしは椿さんと鈴ちゃんに事情を話に行く事にした。


すると、椿さんも鈴ちゃんも
あたしが新撰組に帰る事は知っていた。


どうやら、さっき土方たちが
話しに行ってたらしい。


「すいません、昨日はお騒がせして…」


あたしが苦笑いすると、


「いいの!私がそう仕向けたんだもん!
無事に解決して良かった〜!」


「わわっ!」


そう言って、鈴ちゃんが抱きついてきた。


「もう行っちゃうのかぁー…
もっと日向ちゃんとお話したかったなぁーっ」


あたしの肩に顔をギュッと埋めて言う
鈴ちゃん。


…なにこれ。
超可愛い←


「あたしもだよ、鈴ちゃん。
…って言っても、屯所すぐそこだから
いつでも会えるしね。」


あたしが鈴ちゃんの頭を撫でながら言うと、椿さんがにっこり笑って、


「そうやね、またいつでも遊びに来てな?日向ちゃんっ。うちはいつでも大歓迎や!」


そう言ってくれた。


すると、あたしの肩に顔を埋めていた鈴ちゃんがガバッと顔を上げた。


けれど、その顔はあまり浮かない顔で。


すこし、しょぼんとした様子で
鈴ちゃんは小さな声で、


「…私ね、もうすぐで此処での仕事が片付きそうなの。だから、私もあとちょっとで此処を出なきゃ…」


そう言った。


「…え、じゃあ…」


「…日向ちゃんとは、なかなか会えなくなるかも…。それに…」


そう言って、鈴ちゃんはあたしの背後をちらっと見た。


すると、


「日向、もう行くぞ。」


あたしの背後から、
土方の声が聞こえてきた。


そして、鈴ちゃんはゆっくりあたしから離れると、また小さな声で、


「…私は殺し屋だから…
日向ちゃん達は私を捕まえなきゃいけないし、私は日向ちゃん達から逃げないといけない。」


そう言って、泣きそうな顔で
フワッと笑った。


「…そ、うか…」


確かに、殺し屋は町の人を脅かす者として、捕まえなきゃいけない。


けど…


「…大丈夫!あたしがあいつら見張っとくからさ!←
それに、鈴ちゃん強いから、
そう簡単には捕まらないでしょ?」


そう言うと、
鈴ちゃんは二カッと笑って、


「うん!私強いもん!」


右手でピースをした。


「…それじゃ、また!」


「うん!」


「また来てな!」


そう笑顔で手を振り、
島原を後にした。