「おいでやす。
もうお座敷の準備は出来てます故」
「ああ。」
こちらへ、と座敷へ案内する店の者の後をついて歩いていると、
廊下の向こう側からパタパタと走る音が聞こえてきた。
入ったばかりの新人だろうか、
綺麗な着物を着た若い花魁が
こちらに向かって走ってきた。
小柄で若いっつーか、
子供に近い←
…着物…重くねぇのか…?
なんて、素朴な疑問を抱きながら、
俺は邪魔になるだろうと思い、
通りやすいように、道を開けた。
が。
その花魁は横を通り過ぎるのかと思いきや、
「…?」
俺の目の前で止まった←
そして、上目遣いで
じーっと俺を見てくる←
すると、幹部の奴らが、
俺と花魁の周りに集まってきた。
「お!可愛い子じゃねぇか!」
「まさか、土方さんもう予約済m「何をだよ。」
「…副長、今夜は宴なのでは…「斎藤も勘違いすんな」
「でも年けっこう離れてるんじゃない?あ、でも日向もそうだっけ(小声)←
土方さんロリコn「総司、テメェもだろ」
「まさかの隠し子とk「違うわボケ」
「そうなのかトシ!?何で教えてくれなかっt「だから違ぇよ。」
最初の左之の言葉以外、
すべてつっこんだ俺は、
はぁ…と溜息をついて聞いた。
「…俺になんか用か。」
これだけ男共に囲まれてるにも関わらず
(しかも平助以外結構厳つい←)
少しもビビらず俺をじーっと見てくる花魁に、何だか只者じゃないオーラを感じていると、
花魁はニコッと笑って、
「新撰組の方ですよね?」
そう言った。
「ああ、そうだが。」
隊服を着ていないから
聞いたのか…?
別に隠してる訳じゃないので、
俺は普通に答えた。
すると、
花魁はパァッと顔を明るくして
「よかった!じゃあ、とっておきの上玉を用意しますね!」
そう言って、こちらへやって来たように
パタパタと何処かへ走っていった。
「あれ?土方さん目当てじゃなかったんですか?あの子。(せっかく邪魔物を消せると思ったのに。)」
「おい総司、ドス黒い言葉もちゃんと聞こえてっからな。」
隣でキョトンとしながら悪態をつく総司に、俺は顔を引きつらせた。
…にしても…
「さっきの花魁…」
「まだ子供なのに胸おっきいですね←」
「…そこかよ。」
冗談ですよ、日向ぐらいが丁度いいんです!とさらっと変態発言する総司を、
じとっと睨んだ。
…俺が言いたかったのは、
気配がまったく無くて、
一瞬見えた掌に
刀だこがあったという事。
そして、笑顔の裏にちらっと見えた
何か分からない別の顔。
例えるなら、今俺の隣にいる
総司みたいな奴だな←
「…まぁ、
普通の人って訳じゃないよな。」
俺は花魁が走っていった方向を暫く見つめ、待たせていた店の者の後についていった。

