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「せっかく椿さんがくれたんだから、
いっぱいおめかししないとねっ♫
日向ちゃん、超可愛いっ!」


いつもの倍以上の時間をかけて
念入りに化粧やらなんやらをしていく
鈴ちゃん←


なんか娘を嫁にやる母親みたいな。←


鈴ちゃん、貴女、
あたしより年下でしたよね。


…あ、違う。


あたしの精神年齢が低いんだ←
信じたくないけど。


なんて、考えている間に
どうやら終わったらしく、
鈴ちゃんはふう…、と一息ついた。


「なんか、頭が物凄く重いんだけど鈴ちゃん。バランス保つの超難しいんだけど←」


「んー?それはねー、これ!」


こそあどだけの台詞で
何が言いたいか分からないんですけど←


…とか思う前に、
鈴ちゃんはちゃんと手鏡を渡してくれた←


手鏡を覗くと、


「…おー…









何か頭にいっぱい刺さってる←」









「すごいでしょ!金から銀までよりどりみどりぃ〜♫」


鈴ちゃんが楽しそうに言った。


…金から銀までってそんなに色はないと思うんだけども←


あたしの頭には、鈴ちゃんの言う通り、
金や銀などのキラキラした簪がささってた←


本当に簪は綺麗だし、可愛い。


…綺麗で可愛いんだけども。


「鈴ちゃん、数が多すぎて重いっす。」


あたしの頭には、
尋常じゃない数の簪がささってた←


軽く20本は超えるだろうか。


いたるところにぶっ刺さってる(笑)


「でも、位の高い花魁さんは、
皆そんな感じだよー?」


「いや、あたしは位高くないし。
つかそもそも、お手伝いだから←」


しかもまだ5日目だし、と付け加える。


すると、鈴ちゃんが、


「だって、今日は特別なお客さんがくるんだもん。日向ちゃんにはめいいっぱい可愛いくなってもらわないとっ!」


…。


「…ちょっと待った鈴ちゃん。
まさか…






あたしがその客の相手をしろと?」








「せいかーいっ♫
さっすが日向ちゃん!」


超満面の笑顔の鈴ちゃんとは真逆に
あたしの顔は物凄く引きつった←


「あのね鈴ちゃん、あたしはお手伝いだからね!?普通は皿洗いとかだからね!?しかも特別って何!?偉い人!?もしあたしが偉い人相手にこれまで通り接したらどうなるか分かってる!?此処潰されかねないよ!!??」


さすがにそんな事をしたら、
せっかく置いてもらってるのに
さらに椿さんに迷惑かけるじゃん!


と、あたしが真面目に焦って言った。


(…いや、日向が大人しくしとけばいい話だと思う←)


けれども鈴ちゃんはニコッと笑って、


「大丈夫!酒臭いおじさんじゃないし、
ブサイクじゃないし、むしろイケメンだし、物凄くお偉いさんって訳じゃないし、…あ、でも偉い人って言われれば偉い人かなぁ?…それに、日向ちゃんが暴れても大丈夫な人達だよ!!」


だから大丈夫!!と断言した。


…。


「ごめん、鈴ちゃん。
不安要素ありまくりだわ。←」