「はぁっ…はぁっ…」


「ひ、日向ちゃん、速い…」


全速力で走った結果、ものの数秒で、
屯所の門から50mも離れたところまで来れた←


後ろを振り返ると、
誰も追ってくる気配はない。


ということは、土方には気づかれなかったって事だ←


…ふっ、さすがあたし←


「んじゃ、帰ろっ!」


あたしが、息を整えながら、
心の中で自画自賛していると、
鈴ちゃんが元気に言った。


つーか鈴ちゃん。


「回復早いなおい←」


まだはぁはぁ言ってるあたしに対し、
鈴ちゃんは全くもって息が上がっていない←


すげえ…←


「いや、引っ張られて身体浮いてたから…。ほとんど走ってないよ☆」


「おー、なるほど、そういう事ね…






…って、鈴ちゃんどんだけ軽いんだよ←」


あたしは何も重さを感じなかったぞ。
引っ張ってるのに、引っ張ってる感じがしなかったもん←


いや、あたしの力が馬鹿力なのか?
女の子を軽々と持ち上げれるくらい男前なのかあたしは←


…え、なんか悲しくなってきた←


あたしだって、か弱い女の子になりたいなとか思ったりする気がする事もあったりなかったりするし←どっちだよ。


…いや。
いいじゃないか、男前。
恰好いいじゃないか、うん(涙)


「まぁいいや。刀も取り返したし、傷も治っていた…ああぁあぁぁああ!!」


あたしは、島原へ帰ろうと一歩踏み出そうとした途端叫んだ。


「ど、どうしたの!?」


最近、叫ぶ癖があるのかな←
ごめんよ鈴ちゃん。


「沖田達の様子を見てくるの忘れてた!!!」


あたしはバッと後ろを振り返った。


そうだよ、土方の傷だけ見てどーする。
あいつはまだ軽症…でもないけど、
あの時既に動けてたじゃないか←


沖田の傷も治したけど、
血を吐いてたのが気になるし。
というか、あたしのせいだし←


平助は重症だったし、
永倉は…まあいいか←ヒドッ


此処に来るついでにこっそり治そうと思ったんだけど…


屯所の門まで50m。
そして、既にやらかしてしまっているというハンデ付き。


というか、あれ。
あたし、土方の部屋の襖閉めてきたっけ…?(汗)


今戻ったら、
刀持たずに戦場に行くようなものだ。


…いや、まぁ、刀持ってるけど←
取り返してきたけども!


例えだってば!!


…って、毎回毎回、
誰に言い訳をしているんだあたしは。