此処は京。


あたし、楠木日向は
ただいま京の町に来ている。


「お、日向くんじゃないかい!
ちょっと寄ってくかい?」


「あ、おばちゃん!
寄ってく寄ってくーっ」


そう言って、あたしは甘味処へ寄った。


さっき日向くんって呼ばれたのは、
あたしは京の町に出るときは
男装するから。

袴を着て、腰には刀をさして、
髪は一つに結い上げている。
此処の町では、男で通ってます(笑)





「じゃあ、お団子二つちょーだいっ」


「はいはい、ちょっと待っててな?」


男装するのには理由がある。
一つは、独り身なので女の格好だと危険だから。
そして、刀を持ち歩けるから。
もう一つは…


「日向くん、いつも頭に被ってるソレ…
取ったらどうだい?はい、お団子」


「ありがと、おばちゃん。
いやぁさ、日に弱い皮膚してるもんで…あはは」


「日向って名前なのに、なんか勿体無いねぇ?」


男が白いとモテないぞー(笑)なんて言いながら
甘味処のおばちゃんは仕事へと戻っていった。