「彼氏」という言葉に心臓がドキン、となる。


そして浮かんだ顔が、良明くん……。

「やっぱりそうなんだ?」


「え、やっ…違っ」


どうしよう。こんな態度取ったら「何かあった」ってバレバレじゃん。


やだ。
知られたくない。



「よかったな、おめでとう」


……え?

なんで……?

なんでオメデトウなんて言うの?


「ほんとよかった。心配してたんだよ美和のこと。
いつまで経っても彼氏出来ないからさ」

彼氏って……そんなんじゃない。


私は、冬馬兄ちゃんが好きだから、

だから他の人が彼氏になるなんて、考えたことなかった。


それなのに……。



「……明日から、送ってくれなくていいから」


中学の時に告白して、玉砕して、

でもまだ好きで、4年経った今でもまだ好きだったのに、


冬馬兄ちゃんは全然気付いてない。

私が冬馬兄ちゃんのこと好きだって、気付いてない。



「か、彼氏と……行くから」