好きだなんて言わなければよかった【完】



きっかけは…確か…そう、入学式の日だった。




隣町の中学に通っていた私は、もちろん、同じ学校に通う友達なんていなくて、




周りが知り合いばかりではしゃいでる中、ひとり、ポツンと、机に座っていたんだ。





「ねー、私、小手川小夜子っていうの。実はさ、私、同中の女子から嫌われてんだよねー、ほら、こういうしゃべり方だしさぁ、女子受けわるいんだぁ〜」




そう言って、ヘラヘラ笑う小夜子。





…たぶん、そんな小夜子に、私は興味をもった。




「だからさ、よかったら、仲良くしてくれない?えっと…」






「…紗綾、篠崎紗綾、よろしく」




あの日、真生くんにフラれた日以来、自分が傷つくのを恐れて極力、人と深く関わろうとしなかった私が、久々に自分から仲良くしたいと思った相手、






―…それが、小夜子だった。