終始、穏やかな慎也さんの表情に、私の胸がざわつく。
…私のために自分を利用していいなんて…そんなの…
「…っ、なんで、私のためにそこまで…そんなの…慎也さんが一番傷つくかもしれないのに…」
慎也さんを傷つけたくはない。
けど、ハッキリと、答えが出せない私は、臆病だ。
「だーかーら!オレは、いいんだって。もともと、無謀だってこと前提なんだし?…それに、紗綾ちゃんがオレとのデート直ぐに断らないってことは、少しでもオレに気があるってことでしょ?」
“紗綾ちゃん、全く可能性がないなら、ズバズバ言うタイプだし?”
最後にそう付け加えて、慎也さんは、微笑んだ。