もう数百メートルほども、休みなしで走っているが、酒童は全く疲弊していない。


 誅節橋(ちゅうせつばし)と呼ばれる大橋を渡って、白や茶色の住宅地や、工事業者の事務所などが密集する地区へと入る。

通りの青いコンビニエンスストアで、おにぎり100円セールの張り紙が出されていた。

たかだか軽食程度のものだというのに、「コンビニのおにぎり」というものは、子供も大人もそそられるのだろう。

酒童も、気分転換におにぎりを買うのが、高校時代の日常だった。


 しかし。


 残念ながら、財布をアパートに忘れてきてしまっているので、買いたくても買えない。


(500円玉……)


 ちょうどそれくらいで、おにぎり2つと飲み物が買えるだろう。


 酒童は歯がゆい気持ちになって、肩を竦めながら通勤した。