羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》




 晴明が視たのは、主に天野田班が担当する地区の映像、つまりは酒童たちが護る地区の隣を視たということになる。

 呪法班の式占は西洋妖怪を容易く探し当てる。

 おそらく晴明は、近傍に隣接する酒童班を担当していた青木とほぼ同じものを視たのだろう。

 きっとなにかしら理由があって、彼が担当する班も、酒童班と合流したに違いない。


 その証拠として、彼の発言。


 彼曰くの「物騒な猟銃抱えたやつ」と、「図体のでかい坊主頭」という人には、青木は大いに心当たりがある。

 朱尾と榊であろう。


「では、なぜ私たちにだけ?」


 青木は納得するに充分な答えを見つけられず、あっさりと晴明に答えを求める。


「魔法陣、だな」


 晴明はふんぞり返るように腕を組む。


「誰かが魔法陣に術式をかけた」

「術式?」

「要は、式占妨害というやつだ。
物と物とを隔てる“結界”の応用術みたいなものだ」

「そんなことができるんですか?」

「これは推測だが、この術式が使われていたとすれば、魔法陣の中にいた奴らだけが“視えなかった”理由もうなづける」


 もちろん、あまり式占に関して高度な技術を持っていない青木は、どう応用したらそんなことができるのかを知らない。

そもそも未来を見通す力のメカニズムさえよく分からないのだから、ひたすら「はあ」と自信なさげにうなづくしかなかった。