「君も、見えたのか?」
晴明が言う。
「見えた、とは、どのようなことでしょうか……?」
相変わらず、青木は小心者で弱気である。
「まあ、そんなに堅くなるな。
先ほどの、精鋭たちの式占のことなんだが……」
それを聞くや、青木はなるべく彼から逸らしていた眼を、彼にピッタリと合わせる。
「俺は今日、先ほどの式占を新入りたちに実践させていたんだが」
「はい」
「外で控えていた俺は、物騒な猟銃抱えたやつや、図体のでかい坊主頭が、二本足の獣に襲われてる光景を視た。
だが、肝心の陣の中にいた新入りたちは、それが見えなかった」
え、と青木はぽっかり口を開ける。
自分と同じではないか。
そんな間の抜けた顔をする青木に、晴明は続ける。
「新入りたちだけじゃない。
俺には劣るが、あの中には実力を積んだ精鋭もいた。
それなのに、みな全員合致で“なにもいなかった”だ。
君を含む下っ端たちのように、視界が霞んだような予知しかできなくても、同じ場所と同じ時を視るのだから、当然、ひとりの眼に見えたものが他には見えない、ということはない。
式占の呪法に“誤差”なんてものは生じないからな」
晴明のいうことは正論だが、なんというか、少し刺々しい。


