獣の頭を持った大男。
トロールだとかゴブリンだとか、そういった雑魚の種類とは違うものに思えた。
すると、
「……っはー、終わった」
魔法陣から燐光が消え、精鋭たちが次々と安堵の声を漏らした。
「やっぱ西洋妖怪なんていねえじゃん」
「日曜なんだから、いないだろ、普通は」
「人が1人いただけだしよお。
なんで休日に仕事しなきゃならねえんだかな」
「仕方ないでしょう。
昼間に西洋妖怪が出たっていうんだから」
口々に精鋭たちが愚痴を言う。
いたって平凡な会話だったが、そこで、青木は大きな違和感を覚えた。
(西洋妖怪が、いない?)
青木は我が耳を疑う。
式占の呪法に長けていない脇役の青木にさえ、ぼんやりとだが完全なる化け物の姿が映っていた。
それが、なぜ、精鋭には見えていない?
式占の呪法班員は、それぞれ自分が担当する地区での予知を行う。
もちろん酒童班が守る地区にも、青木および3人の精鋭が置かれている。
だから他の班を見ていた精鋭ならば、青木が見たものが見えなくて当然である。
しかし、青木と同じ地区を担当する呪法班員ならば、青木が朧げながらに見た光景がみえていなくてはならない。


