朧な朝日が、小さな窓から差し込んでくる。

 その光は柔らかな衣のように、布団と窓を繋いでいる。

 黒い瞳が微かに瞼の間から顔を出し、酒童はいつになく軽くなった身体を起こす。

起こしたが、すぐに恥ずかしくなって布団に隠れた。


「っ……」


 直ちに枕元に置かれた衣服をひっつかみ、布団の中でもそもそとそれを着る。

 しばらくすると、酒童はシャツにジャージといういつもながらの姿で布団から這い出た。


(俺は……)


 酒童はぼうっとしつつ、隣にいる陽頼に眼をやる。
 
 ……しかし、すぐに目を逸らす。

 慌てて、呑気に寝息を立てている陽頼に布団をかけてやり、酒童はのろのろとした足取りで台所まで向かった。

 可愛らしいサイズの冷蔵庫から麦茶を取り出しコップに注いでいくと、その水面に自分の顔が映る。

 髪を切ったおかげか、以前よりも少しばかり明るい雰囲気が出ているような気がする。

 火照っている頬は、いまだ熱を持っているらしい。

 酒童は瞼まである前髪をくしゃりとかき、またさらに頬染めした。