太陽だっていいことばかりではない。 旱魃をもたらし、生けるものに死を運ぶことだってある。 訓練場に入るら、やっと、酒童は太陽への憧憬から覚めたのだった。 酒童は、温かで優しい太陽を得ることはできなかった。 それでも、酒童はやはり現実的な見方をする年になっても、とこか太陽に憧れていたのかもしれない。 『―――空飛ぶ人を見にきたの』 そんな、不思議なことをいう少女を、あの頃の酒童は、ずっと焦がれていた“お日さま”と重ね合わせたのかもしれない。 *