「……んん?」 黒髪の女子生徒は、ひとまわり周囲を見回して、小首をかしげた。 なにかお捜しだろうか。 酒童は下におり、その女子生徒に声をかけてみた。 「あのう……どうかした?」 酒童が問いかけると、彼女は「んー」と顎に手をやって、 「屋上に空飛ぶ人がいるって話を聞いたんだけど……。 なんか、いないみたい」 と舌を出して、ふんわりと微笑んだ。