そこらに転がる、十二単を纏った女の髑髏。

 腐敗した肉がこびりつく肋骨からは、おこぼれにあずかっている蛆虫どもがわいている。

 大江山の山中、洞窟の先に建てられた鬼の宮で、3人と剛人を率いる武士が、太刀を手にして立っている。

 袍を纏った、公家らしい男である。

 武士は、なんの肉が分からぬものが盛られた皿を蹴倒し、どっしりと眼前に落ちている鬼の首に刀を振りかぶった。


「己の悪行もここまでじゃ」


 刀を振りかざす武士―――もとい、源頼光の瞳を、その鬼の首は怒気が煮えたぎる眼で睨みつけた。


「鬼に横道なきものを‼」


 斬……と。

 首を斬られてもなお生きる鬼の首を、頼光は真っ二つに斬り裂いた。