「っ……く……」 酒童は歯を食いしばった。 どうにかしなくては。 どうにかして、あの人狼を倒さなくては。 しかし、あの化け物が、あんな姿になる前の―――人間としての姿を想起すると、酒童は動けなくなった。 ……悔しい。 その一言に尽きた。 そうやって絶望に項垂れていた酒童の耳に、その時、木霊のような声が響き渡った。 ―――――殺せ。