そこにいたから、獲物として狩った。
それだけだ。
そう朱尾は言い募った。
説得力に欠ける上に、少々喧嘩腰な発言だったが、突っ込むべきところがわからないから、誰もなにも言えない。
「……もし、仲間に当たってたらどうしてくれてた?」
ふと、榊が切り出した。
「お前が鉄砲を打つ直前に、俺たちは飛び降りる準備してたんだよ。
もし、お前がトリガーを引くのが、もう少し遅かったら、誰かに当たってたかもしれねぇんだぞ」
「俺はそんな下手くそじゃねえよ。
何年猟師やってると思ってんだ」
「そういう問題じゃねえんだよ」
彼らのやり取りは、まだ会話だけで済んでいるが、決して穏便ではない。
酒童は肝を冷やした。
どんな場所でも、やはり朱尾の喧嘩っ早い性格は直らないようだ。
榊は榊で、頭に血が登りやすい。
この相性は、もう心配せずにはいられない。
酒童は、いつでも飛び出す覚悟ができていた。


