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拠点の入口から、酒童は宵に染まって行く空を背景に、不満げに唇を曲げる茨の肩に、酒童は手を置いた。
「もうすぐ夜だから、また、拠点でな」
「またまた。
もうすが死別するみたいに言わないでくださいよ。
班が変わるだけなんですから」
すぐに顔を変え、茨が苦笑した。
朱尾と入れ替わり他の班へと移ったのは、茨だった。
「んじゃ、また拠点で会いましょう」
どこか心惜しげな顔をしつつ、冗談交じりに敬礼すると、茨は重い足取りで、天野田の班へと移行した。
「茨のやつ、行っちまいましたね」
かれこれ半年以上を共に戦ってきた仲間だけに、桃山は、茨が別の半と行動するのが寂しいらしかった。
「寂しいか?」
「寂しいです」
桃山は率直に本音をいう。
躊躇なく「寂しい」と言われて、酒童は心苦しくなった。
人員が増えても、その代わりに誰かを班から出ていかせなければならない、というルールはない。
しかし、朱尾のように、遠隔から確実に敵を仕留められるという人材は、間違いなく逸材だ。
重宝される。
しかし、酒童の班には、既に精鋭が2人もいる。
酒童と茨である。
高い戦力となる精鋭が一点の班に集中するというのは、あまりよろしくない。
精鋭というのは、各々の班に均等に分かれ、主戦力にらならければいけないのだ。
だから、応用力と頭脳に長けた天野田の班に、茨を派遣したのだ。
彼のところにいる班員たちは、いずれも頭のきれる者たちばかりで、奇襲を得意とするが、真っ向勝負が苦手である。
そこに猪突猛進な茨が入れば、ちょうど良くなるだろう。


