羅刹の刃《Laminas Daemoniorum》




2


 拠点の入口から、酒童は宵に染まって行く空を背景に、不満げに唇を曲げる茨の肩に、酒童は手を置いた。


「もうすぐ夜だから、また、拠点でな」

「またまた。
もうすが死別するみたいに言わないでくださいよ。
班が変わるだけなんですから」


 すぐに顔を変え、茨が苦笑した。

 朱尾と入れ替わり他の班へと移ったのは、茨だった。


「んじゃ、また拠点で会いましょう」


 どこか心惜しげな顔をしつつ、冗談交じりに敬礼すると、茨は重い足取りで、天野田の班へと移行した。


「茨のやつ、行っちまいましたね」


 かれこれ半年以上を共に戦ってきた仲間だけに、桃山は、茨が別の半と行動するのが寂しいらしかった。


「寂しいか?」

「寂しいです」


 桃山は率直に本音をいう。

 躊躇なく「寂しい」と言われて、酒童は心苦しくなった。

 人員が増えても、その代わりに誰かを班から出ていかせなければならない、というルールはない。

しかし、朱尾のように、遠隔から確実に敵を仕留められるという人材は、間違いなく逸材だ。

重宝される。

 しかし、酒童の班には、既に精鋭が2人もいる。

 酒童と茨である。

 高い戦力となる精鋭が一点の班に集中するというのは、あまりよろしくない。

精鋭というのは、各々の班に均等に分かれ、主戦力にらならければいけないのだ。

 だから、応用力と頭脳に長けた天野田の班に、茨を派遣したのだ。

彼のところにいる班員たちは、いずれも頭のきれる者たちばかりで、奇襲を得意とするが、真っ向勝負が苦手である。

そこに猪突猛進な茨が入れば、ちょうど良くなるだろう。