「……どういう意味なんだ?
さっきの会話は」
ーそんな必要はない。
ー朱尾くんが悪いわけじゃないのに。
ー誰が悪いかなんて決まってる。
ー余計なことすんな。
彼女と朱尾は顔見知りととれるが、彼らの話していた内容が妙に引っかかる。
特に気にかかるのが、あの女班員と、酷く突き放すような朱尾の変貌ぶりだ。
分け隔てのない、あの朱尾が。
酒童の前では絶対に見せたことのない姿になったのだ。
「そんな事、私に聞かないでくんない?」
天野田が迷惑そうに瞼を伏せる。
「何か変じゃねえか?
あんな気の弱そうな奴に、あんなこと言うなんてよ。
しかも、あの会話といい、なんか意味深すぎるだろ」
「意味深?
あんな馬鹿で単細胞で、脳味噌スッカスカの野生児が、そんなこと考えつくと思う?
だいたい、どうして青木(あおき)さんと、そんな会話をしてたのさ」
まったく接点のない2人。
会話さえできなさそうな組み合わせの彼らが、神妙に話すこととはなにか。
それは天野田にさえ思い当たらないらしい。


