私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~

私は少し考えてから、


「お部屋が散らかってるからでしょ?」


と答えた。


「おまえなあ。お袋から余計な事を聞いたな?」

「少し……」

「ま、確かにそれもあるけど、一番の理由は二人になるとヤバイからさ?」

「ヤバイ?」

「俺、たぶんおまえを襲いたくなる。今だって……」


と言いながら、剛史さんは私の耳の後ろに口を付け、手は太腿の上を這うように……


「やめて!」


私は小さく叫ぶと剛史さんの体を手で押しやった。


「イヤなのか?」

「そういう事じゃなくて、もしお母様に見られたら困るでしょ?」

「スリルがあっていいんじゃね?」

「そんなスリルはいりません!」


というような攻防(?)をしていたら、ピンポーンという音が聞こえた。どなたか見えたらしい。


「剛史、加奈子達だと思うから出て?」


と言うお母様の声がして、「ちぇっ。ここまでか……」とぼやいて剛史さんは立ち上がり、「わかった」と大声で言って玄関へ向かって行った。