私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~

そんな私の思いは何だったのか、と思えるぐらいに呆気なく……


「俺、しばらくこいつの家に泊まるから」


事もなげ、という感じで剛史さんは言った。


「うそ。あなた達まで同棲を始めるの?」

「違うよ。しばらくの間だけさ」

「そう? でも、どうしてなの?」

「ん……詳しい事は言えないけど、ちょっと問題があってさ。俺は言ってみればこいつのボディーガードみたいなもんさ」


ボディーガードかあ。うん、正にそうよね?


「あんたがボディーガードねえ……」

「そうなんです。申し訳ありません」


私はそう言ってお母様に頭を下げた。


「いいのよ、裕美さん。こんなんでもいないよりはマシでしょうから、どんどん使っちゃって?」

「ありがとうございます」

「ちぇっ。ひでえ言われようだなあ」


お母様のお許しが出て、私は心の中でホッと胸を撫で下ろした。


その後、お母様からの強いお勧めで、私達は晩ご飯を戴いて行く事になった。


「あなた達は2階に行ってたら?」

「いや、いい。ここで待ってる」

「そう? さてと、私は料理に取り掛かるわね? と言っても、有り合わせで作るだけだから、期待しないでよ?」

「大丈夫だよ。な?」

「はい」


お母様が居間を出て行かれると、すぐに剛史さんは私の耳元で囁くように言った。


「なんで2階に行かないかわかるか?」


と。