私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~

剛史さんは自分でドアの鍵を解錠し、誰に言うともなく「ただいま……」と言いながら家の中へ入って行った。私は、そんな彼の後ろで小さくなって家に上がらせてもらった。


このままご家族に顔を合わせずに済むといいなあ、なんて思ったのだけど……


「剛史! 昨日はどこに泊まったの?」


あちゃー。剛史さんのお母様に見つかっちゃったらしい。っていうか、昨日の外泊も言ってなかったわけ? 剛史さんったら、もう……


「ちゃんと連絡くれないと心配するでしょ、って……あらま」


台所からか居間からかわからないけど、出ていらした剛史さんのお母様は、私を見て目を丸くした。

どうやら剛史さんはお母様似らしい。お母様は背がすらっと高く、お綺麗、と言うより凛々しいって感じの女性だった。


「ああ、ごめん。忘れてた」


お詫びの言葉は、それだけ?
剛史さんって、誰に対してもこんな感じなんだなあ……


「それはもういいけど、お客様?」

「おお、そうなんだ。俺の彼女。夕べはこの子の家に泊まったんだ」


ちょっ、そんなはっきり言わなくても……