「玉田の奴、無断欠勤してるんだ。携帯に掛けても繋がらないから、俺はあいつの上司に頼み込んで固定電話の番号を教えてもらった。あいつは実家に住んでるから、あいつじゃなくても家族の誰かと話が出来るかと思ってさ」

「うんうん」

「早速電話したら、玉田のお袋さんが出たよ。で、玉田はどうしたのか聞いたら、逆に知りたいと言われちまった」

「え? それって、どういう事?」

「玉田は昨日、家に帰らなかったらしい。連絡もないそうだ」

「えっ? という事は……」

「昨夜からずっと君のアパート付近に潜んでいた可能性がある」

「そんな……」


一晩中外にいたって事?
夜はだいぶ涼しくなってきたものの、凍えるほどではない。だから有り得なくはないかもだけど、普通じゃないわ……

宅配便の制服を着たあの人が、物陰に隠れてじっと私のアパートを監視する姿を想像したら、おぞましさで背筋がザワザワした。


「ま、それはどうかわからないが、これだけははっきりしてると思う」

「え?」


何がはっきりしてるの?


「あいつは本来の人格に戻れていない。つまり、別の人格が暴走してるのさ」