「大丈夫かい? 体の方は……」


長くて濃厚なキスの後、剛史さんは私の頭を優しく撫でながらそう言った。


「大丈夫よ。むしろ前より調子が良いくらい。何だか体中にエネルギーがみなぎってるような気がするわ」

「あはは。朝からポジティブだな?」

「うん。自分でも不思議。早く起き出してあなたに朝食を作ってあげたいの」

「おお、それは有難い。もしかして、君は“裕美ちゃん”かな?」

「えっ……」


剛史さんの問い掛けに、思わず私は固まってしまった。

私は“私”? それとも“わたし”? どっちなの?


「おい、どうかしたか?」

「それがね、どっちなのか自分でもわからないの」

「と言うと?」

「私が“裕美”なのか“裕美ちゃん”なのか、わからないの。どっちでもないような気がするし、どっちでもあるような気もするし……」