私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~

私は殆ど衝動的にそう言っていた。言ってから、我ながらすごい事を言ってしまったと思ったけど、後悔はしなかった。

ねえ、もう一人の“わたし”。いいわよね?

『聞かないで』

それって、どういう事?

『あなたに任せるって事よ』

そっか。わかった……


剛史さんは、ハッとして私の顔を見た。


「裕美、意味わかって言ってるのか?」

私はコクンと頷いた。

「本当にいいのかい?」

「うん。あなたが、好きだから、抱いてほしいの。あなたに……」


これまた大胆な発言に自分でも恥ずかしくて、私は剛史さんに抱き着き、彼の胸に顔を埋めた。


「もしかして、君は“裕美ちゃん”なのか?」

「ううん、裕美……だと思う」

「“思う”って……?」

「この頃少し混乱してるの。でも、私は裕美よ?」

「そうか。しかし裕美の“方”なら、俺を嫌ってなかったか?」

「初めはね。でも今は……すごく、好き」


すると剛史さんは、ぎゅーっと私を抱きしめた。苦しいくらいに、強い力で。


「嬉しいよ。俺は最初から君、いや君達に惚れてたよ。一目惚れってやつさ」