私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~

すると剛史さんはやっぱりまだ起きていて、しかもすぐにこっちを見て目と目が合ってしまった。


「ああ、びっくりした……」

「ごめんなさい」

「どうした? 眠れないのか? あ、テレビの音が煩かったか?」

「ううん、そうじゃないの。なんか、怖くて……」

「そうか……。わかるよ」

「あの……」

「ん?」

「えっと……隣で寝ていい?」


うわっ。私ったら何を言ってんだろう。今のは“わたし”?

『違うでしょ?』


「……いいけど?」


わお。いいってさ。どうする、“わたし”?


『行っちゃえば?』

そ、そうよね!?


私は枕を胸に抱え、いそいそと剛史さんの元へ向かって行った。

剛史さんは端にずれてくれて、私は彼の隣にそっと体を横たえた。


「ごめんなさい。狭くしちゃって」

「いいって。テレビ消すかい?」

「ううん、いい。あなたは観てるんでしょ?」

「ああ。この番組、結構面白いんだ」


首を上げてテレビを見たら、よく見るお笑いタレントのトークをやっていた。私はあまり興味ないけど。


横向きで、肘をついてテレビを観る剛史さんの後ろで、私はきちんと仰向けで寝た。もちろん彼と私の間には、僅かだけど隙間がある。

初めはドキドキしたけど、慣れてきたらこれではベッドで一人で寝るのとあまり変わらないと思った。そしてその瞬間、またあの人を思い出して怖くなってしまった。


私は横を向き、剛史さんの広い背中にピタッと抱き着いた。