私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~

「今日、いずれにしてもそれを君に話すつもりだったんだ。その、身近な二重人格の男の事をね」


男?
そう言われて、私の思い付く男の人は一人しかいない。それは……


「玉田さんなの?」

「そうなんだ」

「えーっ? あの人も二重人格なの?」

「ああ。あいつは完全な二重人格だ。もしかすると多重人格かもしれない。そこははっきりしないんだが……」

「多重人格? 詳しく話して?」

「うん。この間君が会ったのはたぶんあいつのオリジナルの人格だと思う。君も気付いたと思うが、あいつはオカマだ」


「うん」と私は頷いた。薫さんがオカマだという事は私にもわかった。でも、私と同じ二重人格とは、思いもよらなかったわ。


「あいつのもうひとつの人格は、あいつの弟なんだ。名前は“アキラ”というらしい」


「アキラ……? 違う名前なのね?」

「そうさ。あいつにとっては別人だからね。そしてややこしい事にアキラはあいつ、つまり薫を姉だと思っている」