『何がばれたの?』

あんたと私が違う人格、つまり私達が二重人格って事がよ!

『えっ? 嘘?』

今この人が言ったタイミングって、ちょうど私からあんたに主導権を移した時と一致してるでしょ?

『確かにそうだけど、どうしてなの? 今まで誰にも気付かれなかったのよ? 親にも友達にも……。それなのに、どうして剛史さんは気付いちゃったの?』

わからない。でも気付かれたのは確かだわ。何とかしないと……

『“わたし”はどうすればいいの?』

私に任せてちょうだい。と言ってもどうしていいか私にもわからないけど、とにかくこの人の口を封じないと、“見せ物”にでもされたら堪らないわ。

『“見世物”? そんなの嫌よ……』

私だって嫌よ。何としてでも岩崎さんに他言させないようにしなくっちゃだわ。


せっかくのほろ酔い気分が一気に醒めてしまった。


「それって、私の事かしら?」


私は気を静め、岩崎さんの目を真っ直ぐに見据えてそう言った。彼の出方を窺いながら……