私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~

「そうだけど、なんで僕の事知ってるの?」

「剛史さんから聞いたからよ?」

「ああ、なるほどね……」


このアキラって子、確かに子どもみたいだけど、侮れない気がする。少なくてもさっきのコウジって男よりは頭良さそう。さすがリーダーって感じね。


「僕に話があるんだって? 何?」

「そうなんだけど、ここじゃなくて他所でしない? ファミレスとかでさ。私の奢りでいいから」

「ここでいいよ」

「そう言わずに行きましょ? あなたお腹空いてない? 私はもうペコペコだわ」


私は作り笑いを顔に浮かべ、アキラ君の腕に手を触れた。すると、


「僕に触るな!」


アキラ君は怒鳴って私の手を払い、続けて私の肩の辺りをドンと押した。


「きゃっ」

「中に入れ! 隙あらば逃げようって魂胆だろうけど、そうは行かないよ」


ふう。やっぱりこの子、手強いわ……


「本当は話なんかなくて、ただの時間稼ぎなんだろ?」

「そ、そんな事ないわよ。本当にあなたと話したい事があるの」


半分は彼の言う通りだから内心はドキッとしたけど、そこを頑張って毅然として言ったら、


「わかったよ。そこに座れば?」


とアキラ君は言い、古ぼけたソファーを指差した。

こうなったら彼を説得するしかないけど、私に出来るかしら……