私の中のもう一人の“わたし” ~多重人格者の恋~

「ええ、知ってるわよ? 彼と大事な話があるから会わせて」

「後でいいだろ?」

「ダメ。もし彼と話す前に私に乱暴したら、あなた怒られるわよ? 彼から、こってりと……」

もちろんこれはハッタリだ。

「ま、マジかよ? 俺はあいつが苦手なんだよなあ。ねちっこくてよ……。あいつとどんな話をするんだよ?」

「それは言えないわ。彼にしか……」

「チッ。ん……わかった。奴を探して来る。逃げようったって無駄だからな」


コウジという男はそう言い残し、扉を開けて出て行った。


やった! うまく行ったわ。

しかもあの男、扉に鍵を掛けた気配がない。よし、今の内に逃げちゃおう。


そう思って私は急いで立ち上がり、扉に駆け寄ってそれを開いたのだけど……


「おねえさん、どこ行く気?」


目の前に男が立ちはだかった。でもこの男、コウジという男と顔は同じだけど、話し方や感じがまるで違うわ。


「あ、あなたは……アキラ、くん?」