「つまり、あなたとその男性には肉体関係があるのでは?」
「な、何を言ってるんですか? 失礼な……」
「ほお、顔が赤くなりましたね。図星なんだ?」
ルームミラーを見たら、運転手さんが切れ長の目で私を見ていた。
あれ? この目付き、どこかで見た事があるような……
気のせいかな。
「すみませんが、黙って運転してもらえませんか? 前を見て」
もう、何なのよ、この人。変なタクシーに乗っちゃったなあ。
「病院なんかに行っていいんですか?」
運転手さんは、更に妙な事を言った。
「ど、どういう意味ですか?」
「いえね、もし病院で鉢合わせしたら、まずいだろうなあと思いまして」
「だ、誰によ? 誰に鉢合わせしたらまずいって言うの?」
「そりゃあ決まってるでしょ? その男性の恋人ですよ。あなたと違って、正式な」
「バカな事言わないで! 私が彼の恋人よ。正式も何もないわ」
この人、絶対おかしいわ。つい興奮して怒鳴っちゃったけど、相手にしない方が良さそうだわ。
「なるほど。図々しい女とは聞いていたが、ここまでとはな。小早川裕美さんよ」
えっ? なんで私の名前を……
と驚いていたら、ガクンという衝撃と共に、タクシーは急停止をした。



