【Talk:テューロ】



「……く……はぁ……っ。」



自分の息遣いで目が覚めた。



頭の奥底で、金属音が鳴り響く。
視界が ぐにゃぐにゃと歪み、
吐きそうに なるのを必死で堪えた。



その時、いつもパンとスープを運び
俺に差し出す男が、
今日は床に置くだけで
出て行ってしまった。



両手を拘束されている俺は、
自分で食事を する事が出来ない。
しかし餓死を防ぐ為に
食べさせる事は必要 不可欠で……。



疑問が予想に変わったのと、
ある人物が独房に入って来たのは
同時だった。



その姿を見て、
予想が現実へと変わる。



目の前に立っていたのは、
刹那が来るように なってから
ぱったり姿を消していた、
王立騎士団の団長だった。



「…………っ!」



思わず息を飲む。
恐怖に躰が震えるのを、
必死に押さえ付けた。



そんな俺の心情を
知ってか知らずか、
団長は にたりと笑みを浮かべた。