刹那と話すと、
何故か無性に泣きたくなる。
目を瞑り、涙が引くよう願う。
死にたくない。
スパイだった頃は、
いつ死んでも良いと思っていた。
誰かに殺して欲しいとさえ思った。
けれど、
いざ その場に立たされると、
生きたいと思ってしまう。
10年前の あの日、
“テューロ”は もう死んだのに。
上の命令に従って
沢山の命を奪ったのに、
まだ生きたいと願う自分が、
吐き気がする程 醜くて……。
俺は、弱いんだな、と実感する。
死にたくない。
死にたくない。
震える肩を抱く事も出来ず、
俺は唯 静かに、涙を流した。


