「そう言わずに。
あたしは あんたの事
心配してるのよ?」
「それは大事な情報源だからだろう?」
テューロの言葉に肩を竦める。
囚人は馬鹿でも困るけど
賢いと もっと困る。
「……お前と取引が したい。」
不意にテューロは話題を振って来た。
突然の事に驚く。
「取引?
囚人の分際で?」
「お前にとって……
いや、この刑務所にとって、
悪い話では無いと思う。」
強い意思が宿った銀の瞳。
昨日の彼の瞳には、こんな光は
宿っていなかった気がする。
「聞くだけよ。
話してみて。」
促すと、テューロは頷いた。
「……お前達が知りたい事を、
俺は出来る限り話す。
だから……終わったら、
俺を殺してくれないか?」
突然の提案に、
あたしは ぽかんと口を開けた。


