「瞬は確か殺され掛けたんだよね?
テューロの事は どう思ってるの?」
「殺され掛けたとか
言わないで欲しいんだけどね……。」
日里の遠慮無い発言に苦笑しつつ、
瞬は腕を組んだ。
「最初の頃は少し恨んでたけどね、
時間が経つにつれ、
八つ当たりだなぁって思ったよ。
帝国のスパイである彼が
俺達 王立騎士団を殺すのは当然だし、
団長の息子のくせに
歯が立たなかった俺が弱かったんだ。」
瞬の言葉に感心する。
騎士として日々 切磋琢磨する彼は、
尊敬に値する人だと昔から思ってる。
「ふぅん……。
それで刹那、
これから彼のとこに行くの?」
日里の質問に頷いてみせる。
そう、あたしの仕事は彼から
情報を引き出す事なんだから。
「私も付いてって良い?」
渋々 頷く。
日里は昔から
許されるくらいの我儘娘で、
彼女を妹のように思ってる
あたしにとって、
それは断れない提案だった。


