Loneliness




「それで?
何が“何なのよ”なの?」


「……あのスパイ。」



幼馴染みである2人に
隠し事は出来ない。
上手く嘘を ついても
直ぐに見抜かれる事は
長年の経験から理解していた。



「ああ、テューロだっけ?
父さんから
刹那に一任されたって聞いた。」



瞬の落ち着いた声は耳に心地良い。



「へぇ、刹那が
情報を引き出せなかったの?」



興味津々といった感じで
訊いて来る日里。



あたしは2人に昨日の事を話した。
あたしの仕事内容は、
2人共 知っているから。



「……面白い人だね、彼。」



話を聞き終えた日里が発した
第一声は それだった。



「面白くないわよ……。」



男を誘って断られた経験が無い
あたしにとって、
昨日 情報を引き出せなかったのは
屈辱以外の何物でも無い。



そんな あたしを ほっといて、
日里は瞬に目を向けた。