押さえ込んでいた感情は、 もう死んでいるだろうと 思っていたのに。 まだ、心の奥底で燻っていた。 知りたくなかった、 本当の気持ち。 それを知ってしまった俺は、 どうすれば良いのかすらも解らない。 強くなった気でいた。 弱い自分は死んだ筈だった。 それなのに。 俺は……――。 嗚咽が漏れないように 必死に深呼吸を繰り返して。 誰も居ない独房で、 10年振りの涙を流した――。